分科会について

第2回日本ダウン症会議の分科会

「まなぶ」「くらす」「はたらく」「たのしむ」ってなんだろう?

ダウン症のある子・方が生涯にわたって活躍し、発達し続けていけることは間違いありません。しかしそれが妨げられる要因として、
①知的障害があること
②加齢に伴う低下・衰退があること
が考えられます。この2つについて、支援が必要になってきます。 今回の会議の大会長、菅野敦先生が「このように領域を意識して考えると支援しやすい」と提唱されているのが、「生涯発達支援の4領域」です。

知的障害の定義とは?

①「知的障害があること」の「知的障害」ってなんでしょうか?AAMR(アメリカ精神遅滞協会,現AAIDD:アメリカ知的障害・発達障害協会) 1992年発行の第9版では、知的障害(精神遅滞)の定義を、IQに象徴される「知能」だけでなく、その年齢ならこのくらいできるのでは、と思われる基準に「あわない領域」があるかどうかに着目し、具体的に10領域があげられています。

・コミュニケーション (communication)
・身辺処理 (self-care)
・家庭生活 (home living)
・社会的スキル (social skills)
・コミュニティ資源の利用(community use)
・自律性 (self-direction)
・健康と安全 (health and safety)
・実用的学業 (functional academics)
・余暇 (leisure)
・労働 (work)

「国際生活機能分類(ICF)」にある活動と参加

②の「加齢に伴う低下・衰退があること」を考えるには、「なにが低下・衰退しているのか」をとらえる必要があります。WHO(世界保健機構)の「国際生活機能分類(ICF)」では、人が「活動し参加する」領域として9つの領域をあげています。ICFでは心身機能・構造と活動と参加が相互作用的に関わることで「生活機能」が高まればより健康であるといえます。たとえば、ダウン症のある方が社会参加することにより活動や心身機能が向上することも、相互作用です。

・学習と知識を応用する (Learning and Applying Knowledge)
・一般的な課題と遂行要求 (General Tasks and Demands)
・コミュニケーション (Communication)
・運動・移動 (Mobility)
・セルフケア (Self Care)
・家庭生活 (Domestic Life)
・対人関係 (Interpersonal Interactions and Relationships)
・主要な生活領域 (Major Life Areas)
・コミュニティライフ・社会生活・市民生活 (Community, Social and Civic Life)

菅野先生の提唱する4つの支援領域

この2つの定義から共通項目をまとめ、生涯発達支援と地域生活支援にも向けた支援領域として整理し、4つの支援領域としました。

  1. 学習・余暇(まなぶ・たのしむ)
    学習の基礎である「調べる,比べる,分ける,まとめる,表現する」を学び,音楽,美術(絵画や陶芸等),運動(散歩や水泳等)などの活動に展開する領域
  2. 自立生活(くらす)
    食事・排泄・着脱などのセルフケアにはじまり,清掃・洗濯・調理・整容,買い物,外出など家庭生活の活動に展開する領域
  3. 作業・就労(はたらく)
    作業や仕事・職業において求められる基礎的な技術や知識の学習に始まり,企業や施設などで行われる作業や仕事に関する技能や能力,さらに就労に向けて,働く態度の学習へと展開する領域
  4. コミュニケーション(人とかかわる)
    行動障害の軽減も含め,他者との円滑な社会生活を送るために必要なコミュニケーションに関する領域

ライフステージ各期における4領域

  1. 学習・余暇(まなぶ・たのしむ)
    支援:一生涯を通じた支援
  2. 自立生活(くらす)
    支援:乳幼児期に最も中心的に指導が行われ、次第に援助へと移っていく。
  3. 作業・就労(はたらく)
    支援:青年期から成人期に集中的に指導が行われる必要がある。
  4. コミュニケーション(人とかかわる)
    支援:一生涯を通じた支援

特に、成人期から壮年期は「はたらく」が位置づけられ「くらす」「かかわる」「学ぶ・楽しむ」のバランスが保たれた時期であり、さらに、壮年期から老年期になると、「学ぶ・楽しむ」「かかわる」が中心となりながらも「はたらく」「くらす」が保たれる時期となります。

各ライフステージでの各領域の発達と支援方法は

生涯発達支援と地域生活支援の領域としての4領域で、ライフステージ各期のダウン症のある方々はどういう発達特性を示すのでしょうか。また、これら4領域の支援において求められる支援方法は?これらを見出すことが,今後の生涯発達支援の実践を支えることにおいて最も重要な課題のひとつと、菅野先生は考えていらっしゃいます。あなたも一緒に具体的に考えてみませんか。